新型コロナウイルス感染拡大以降、写真共有アプリ「インスタグラム」の飲食店支援機能の強化が進む。有効活用する東京・渋谷のベトナム料理店はテークアウト注文の4割超がインスタグラム経由になったという。インスタグラムのビジネス&メディア部門グローバル責任者のジム・スクワイヤーズ氏が成果を出す活用法や利用動向の変化を語った。

――新型コロナウイルスの感染拡大以降、インスタグラムの利用はどう拡大したのか。

「インスタグラム、フェイスブック共に全般的に利用が増えた。特にライブ動画配信機能『インスタグラムライブ』は2~3月にかけて非常に成長している。3月18日からの7日間と、前週の7日間の比較でも閲覧数は50%増加した」

「新型コロナの流行前から現れていたトレンドがさらに加速した印象だ。インスタグラムを通じた商品やサービスの購買が伸びているほか、コミュニケーションをとる手段としてインスタグラムのメッセージ機能が活発に使われている。外出自粛の中で人とつながりたいという欲求が、インスタグラムの成長に強く反映されている」

――利用者が急増するメディア力を生かし、企業をどう支援できると考えているか。

「このような状況下でビジネスをサポートしていくことはインスタグラムとして優先順位が高い。新型コロナの流行はさまざまな業態に影響を及ぼしているが、特にダメージを受けているのが飲食業界だ。そこでレストランにインスタグラムから料理を注文できる機能や、インスタグラム内でギフトカードを買える機能を開発した」

「料理を注文できる機能は4月下旬に日本でも提供を始めた。デリバリー、テークアウト共に利用が増えている。東京・渋谷のベトナム料理店『An Di(アンディ)』は飲食店予約サービス「テーブルチェック」と連携してインスタグラムの注文機能を利用し、テークアウト注文のうち43.7%がインスタグラム経由となった」

――日本でも若者を中心にインスタグラムで飲食店を探す人が増えている、これは世界的なトレンドか。

「その通りだ。飲食店に限定した調査ではないが、利用者の83%がインスタグラム上で「新しい商品やサービスを発見する」と回答しており、81%が『商品やサービスを検索する』と答えている。また、80%が『商品やサービス購入するかどうか決める』と回答した。インスタグラム上で新しい商品やサービスを日常的に見つけたり、より詳しい情報を検索で調べたりして、実際に店を訪れる、オンラインショップで商品を購入するなどのアクションを起こすという利用者の傾向は日本以外でも顕著になっている」

■利用者は作られた写真より、リアリティー重視

――それはなぜか。飲食店検索はクチコミを中心としたサービスが主流だった。

「従来との違いは、インスタグラムが写真や動画を中心としたビジュアルコミュニケーションのプラットフォームであり、検索結果がビジュアル的であることだ。視覚的な訴求力が強く、自分に合った情報を直感的に発見できる」

「特に、飲食店のようにビジュアルと相性が良いビジネスは親和性が高い。店舗の雰囲気など、テキストだけでは表現しづらい情報が伝わりやすくなるだけでなく、投稿者の感性なども垣間見えるため信頼性が高まる。『この人が薦めるなら自分も行ってみよう』というアクションにつながりやすいのが特徴だ」

「とりわけ若年層(18~29歳)にとってインスタグラムはマスメディアとして捉えられるようになりつつある。検索サービスで『ググる』のではなく、インスタグラムのハッシュタグ検索などを駆使して『タグる』 ことで情報収集をしているという傾向が見られる。若年層の女性が食に関する情報を探す際、インスタグラムを他サービスの2倍以上使っているという調査結果からもそうした傾向がうかがえる」

「また、インスタグラムでは宣伝用に演出された料理や店内の様子などの写真より、リアリティーがあり、お店の個性が伝わるようなコンテンツが好まれる傾向がある。作り込まれた写真や動画より、調理をしているキッチンの様子など舞台裏のコンテンツや、スタッフの人柄が分かるような投稿をすることで、事業者側が発信するコンテンツの信頼性が増し、消費者の購買行動に与える影響が大きくなる」

――飲食店が成果を出すための工夫点はあるか。

「インスタグラム上にコミュニティーを持ち、それを育てていくことが必要だ。インスタグラムには「お店を応援」という機能がある。これは応援したい飲食店の投稿を、インスタグラム上の(24時間で投稿が消える)『ストーリーズ』で気軽に共有できる機能だ。まず、どういうコミュニティーをインスタグラム上に持っているか。そこでのつながりが顧客が店舗に対して抱く愛情を育て、応援につながっている」

「事業者と消費者が気軽に交流し、コミュニティーをつくれることはインスタグラムの特徴だ。利用者の90%以上が何らかの事業者のアカウントをフォローしていることからも分かるように、インスタグラム利用者は事業者からの情報発信に好意的だ。飲食店を探す際、他の利用者の投稿だけでなく、事業者が投稿するコンテンツも参考にしている」

「そうした成果につながる活用法を伝えるため、20年6月17日から、中小企業をサポートする取り組みとして、インスタグラムを活用して事業を成長させるトレーニングに役立つ動画セミナーを実施し始めた」

――これまでフェイスブックは数年にわたってソーシャルメディアとEC(電子商取引)を連携したソーシャルコマースに取り組んできたが、大きく成功した印象はない。インスタグラムでは成功できるのか。

「当社はインスタグラムとフェイスブックを通して、ECに投資をしてきた。中でもインスタグラムは視覚的に商品を見られる、情報を得られるのが特徴だ。商品やサービスを見つけやすい、買いやすいという評価を利用者からもらっている。そこでより買いやすく、見つけやすくするように機能強化を進めている。例えば、買いたいものをお気に入りに登録しておくことも可能。ECに関する投資は会社全体で継続をしていきたいと考えている」(日本経済新聞)

飲食とか画像で検索、比較ができ且つお店の雰囲気など分かって選びやすいんですよね。あと予約もそのままできるので便利です。